「ふぁ〜あ…」

シャワーを終えてリビングルームに戻るとあくびが込み上げてきた。

どうしてよく知りもしない人の家でこうも呑気に眠気に襲われるのだろう。

​────ひとり暮らしなのはこういう時とても気楽なもので。帰ってこないことに誰にも心配されないし、探されない。

おまけに学校も退学したばかり。どこへ行こうにももう私は本当に誰にも干渉なんてされない人間になってしまった。1歩間違えればそれは気楽、というより虚しい気がしないでもないのだけど……。

とにかく私はこの場所にいるしかない。

逃げればこの指輪によって即死させられるだけなのだから。

少し横になりたくてヨタヨタとソファに向かった。ゴロン、と横になってクッションを精一杯胸に押し付けて抱き抱える。

これは小さい頃からの癖。

無意識に、心臓を守っているんだと思う。

あれだけたくさん寝ても、寝れるものなんだなぁ。

重くなっていく瞼に抗うことなくゆっくりと目を閉じた。