素直に感想を伝えたつもりだったんだけど…、なんだか機嫌を逆撫でしてしまったみたいで言わない方が良かったことなのかもしれない、と反省した。

「別に構いません」

そうは言ってくれるけどきっと結くんのために作ったものだっただろうから申し訳なくなる。

くるみさんは食器を片付ける為だけに来たみたいでキッチンで数分洗い物をした後、すぐに帰ってしまった。

仕事はそつなくこなす。

そういうタイプに思えた。

でも出て行く時に心なしか扉を強く閉められた気がして、私の存在はくるみさんにはあまりよく思われていないのかもしれない、と思った。

ーーへぇー、これ(・・)が結が惚れ込んだとかいう?

下の人たちはみんな結くんのことを‪”‬若‪”‬って呼ぶって言ってた。じゃあくるみさんの‪”‬結‪”‬っていう呼び方は一体……

「あの、くるみさんは結くんのこと‪”‬結‪”‬って呼んでるんですね」

「あー、言われてみればそうっすね。割と長い付き合いだからっすかね?」

頭の後ろで手を組んでうーん、と伸びをする真柴さん。真柴さんの放つ空気感はとてものんびりとしていて心のつかえが薄れていく。

「あ、護衛って言っても24時間ずっと付きまとわれる、っていうのも居心地悪いでしょうし、僕は基本的にこの下の階にいるっすから、もしなんかあればそこの電話で言ってくださいっす」

指し示された方を見ると固定電話が1つ。

「電話帳の1で繋がるっすから」