拘束を解いてくれて。

水を飲ませてくれて。

ご飯をくれて。

だから

‪”‬許してくれた‪”‬

なんて、一瞬そんなふうに思ってしまったけど違うみたい。

彼は私を許してなくて。

どこにも逃がさない。

‪”‬籠の中の鳥‪”‬

つまり、そういうことなのだろう。

「…はい」

でも、連日受けた尋問。

アジトはどこだ、とか。

吐け、とか。

そういうことはもう聞いてこなさそう。

「私のことは……もう疑ってないんですか」

きっとこの人たちは雷狂組っていう組織? のアジトを聞い出したかったはず。

もう、疑いは晴れたってことなのかな?

「いや、分からない」

「え?」

「だからそれ付けたんだろ」

「あっ……」

解放、とまではいかないけど少しは私のこと信じてくれた、って感じかな?

「名前は」

「……小桃、です。茅島…小桃」

「小桃」

「はい…っ、ん……っ」

呼ばれた名前に返事をした直後、唇に暖かいものが触れた。

キスされたんだと、すぐに脳が理解した。

頭は混乱するばかり。

でも次に放たれる言葉に、

「小桃​」

私はさらに混乱することになる。









「​───────…俺と結婚しろ」