辛い。苦しくて。逃げたくて。怖くて。

嫌な気持ちばかりがこの胸にあるのに、今の私は彼を突っぱねることすら出来ないほどに弱っていた。ついに力なく彼の肩に頭を落としてしまう。

「水、飲むか」

コクコク、と頷くと彼に後頭部を支えられて、コップに注がれた水を飲ましてくれる。

その後は彼にされるがまま再びソファに寝かせられた。

「こうしてた方が楽だろ」

「…は、い」

横向きになった身体の力を徐々に抜いていく。

まともに話が出来るぐらい呼吸を整え、改めて彼に尋ねた。

「ここは…どこですか」

「俺ん家。あんた、丸1日寝てた」

「そう、でしたか…」

2日間監禁されて。
丸1日知らない男の人の家で寝たきり、って…
私の人生、急にぶっ飛びすぎじゃない……?

「…何歳」

「え?」

「何歳」

「……17…です」

された質問に正直に答えただけ。

なのに…

「ちっ……」

舌打ち……されてしまった。

なんでだろう……。

疑問に思っていると今度は呆れたようなため息が降ってきた。

「お前さ、まだ17歳なのに……」

そこで意味深に言葉を止めた彼。躊躇いがちにその先を促す。

「……? なん…ですか?」