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「ん……っ」

目が覚めると私は別の部屋にいた。

全面ガラス張りで、外から優しい光が差し込んでいるすごく広い部屋…。

ぐったりとソファに横になっていた身体を起こした時、拘束具が外されていることに気づいた。

許して…もらえたのかな?

「目覚めたか」

すぐ隣から不意打ちに話し掛けられて、目が覚めたばかりなのに身体は敏感にビクッ! と大きく跳ねた。

声がした方に視線をやると、人がいて自然と身構えてしまう。

「あの…わ、わた、し……ケホッ…ケホッ……!!」

喉がカラカラで言葉が上手く出てこない。

誰かに首を絞められているんじゃないか、と錯覚する程に喉奥から込み上げる息苦しさがあった。

「ふー…っ、ふー…」

胸を抑えてなんとか呼吸を整える。

拘束されてた手首と足首がズキズキする。
頭も痛いし、クラクラする。

今すぐここから逃げ出してしまいたいのに身体の力が上手く入らなくて、出来ない。

お腹もペコペコ。

「ふー…、……」

「大丈夫か」

彼が隣にやって来て私の背中に触れる。

ちら、と顔を見てその人が若、って呼ばれてた人だと気付いた。

触らないで…

怖いよ…

そう思うけど。そう言いたいけど声にならない。それどころかだんだんと力が抜けて彼に寄り掛かる形に。