本当のことなのに、間髪置かずに舌打ちされてしまう。

「ほん、とです……っ、ほんとに…わたし、なにも……、、」

私は何も知らない。

もう何度もそう言ったけど、一向に理解してくれない。私が嘘をついてる、って思われてしまっているみたい。

「なにも……、知ら、、ら…」

極度の緊張状態がずっと続いているせいか、もうだんだんと呂律が回らなくなっていく。

そんな私に痺れを切らしたのか、彼が突き放したように言う。

「吐かねぇなら今すぐこの腹かっさばいて、臓器全部売り飛ばす。麻酔なんかしねぇからな、激痛で叫び散らかしても知らねぇぞ」

彼がおもむろに私のお腹当たりをギュッ、と押し付けるように順番に指をさしていく。

「この肺も、胃も、小腸も大腸も…」

指をさされているのはきっとその臓器が入っている場所。

「肝臓も、膵臓も…」

容赦のないリアルな言葉に、背筋が凍るような思いだった。でもその時。

「腎臓も、心臓(・・)も全部売って​────」

「だめ…」

「あ?」

「心臓は……、この心臓だけは…大切だから…だめ……。やめてください…」

あれ…私何言ってんだろ…

意図せずそんな言葉が口から出てしまった自分に驚く。

「俺に口答えすんのか」

「いえ……ご、ごめんなさ…」

さらに、怒らせてしまったかもしれない。

このまま、お腹を切られてしまうのかもしれない。