「いや、ごめんなさ、じゃねえだろ。あんたまさか雷狂組(らいきょうぐみ)の女か? 若の命狙おうとしてんじゃねぇだろな」

らい、きょうぐみ?

わかの……命…?

言っていることは理解出来なかったけど、今私がこの人たちに良く思われていない、ってことだけは分かる。

「ごめんな……さ、い…はぁっ、はぁ……、すぐ…どきます…、ので……っ」

しかし、謝罪も虚しく被さるように男たちが何やらコソコソと話し始めた。

「…どうします? これ」

「雷狂組の女だったらあとあと面倒だしな」

「見逃したら若にシメられそう、っすよね」

「怪しいな。1回若に見せるか。…連れてけ」

「はい」

話の内容は私の耳にまでは届かなかったけど、1人の「はい」という返事だけがかろうじて聞き取れた。

それ以降特に何か話している素振りはなく…

もう……、許してくれたのかな。

と思った直後のこと。

「んっ…!? んー…っ!」

後ろから何か布のようなものを強く口元に当てられて頭が真っ白になる。

え……っ、なに…!?

ツーン、とした刺激臭が鼻腔に達した時。

フッ、と全身の力が抜けて私は男の1人にかつぎ上げられ、意識を失った。