お願い、神様。

これは私の最期の夢。

絶対に叶えたいんです。

「確かその日はお2人の結婚式なんでしたっけ?」

横から看護師さんが口を挟む。

いつもご飯を運んでくれる、気さくで明るい人だ。

「はい」

祈るように自分の手を握ると、結くんの手がふわっ、と重なった。

「俺からも頼みます」

力強く後押ししてくれる結くん。

一緒に同じ夢を見ているんだ、って感じて、すごく嬉しかった。


​────結局、外出の件は保留になった。

先生も私の気持ちをくんでくれようとしてくれているけれど体調ばっかりはどうにも…。

良くなっていますように、と願うことしか今の私には出来なかった。

***

「それ美味しいのか」

「味はちょっと薄いかもですけど…、美味しいですよ?」

「ふーん」

入院生活にも日に日に慣れてきはじめたその日。

病院食を食べていると結くんが興味を示した。

「食べます?」

「あぁ」

「…」

取り皿におかずの野菜炒めを1口程度よそうと、結くんはそれを口に運んだ。