【結side】

「こいつ心臓病だよ!? 余命宣告もされてるんだよ!? こんな奴と一緒になるより​────」

これ以上聞かせたら、

ダメだと思った。

咄嗟に小桃の耳を塞いだ俺は、くるみを軽蔑の眼差しで見つめた。

「あたしと一緒になった方がいいに決まってる! ねぇ、結…、気付いてた? あたしずっと結のことが好きだった……っ、いつか実ると思って…ずっと、結のそばにいた……なのに…」

「黙れ」

「…っ、」

腕の中でポロポロ涙を零す小桃は今までにないくらい震えていて、どれだけ怖い思いをしたんだろう、と考えたらやるせなかった。

クビにした腹いせか……?

怒りで手が震えた。

腸が煮えくり返る気分だ。

「……こんなことしてただで済むと思うなよ」


​────くるみと一緒にいた男達は雷狂組の人間だった。あの後、下の奴がくるみを監禁し、口を割らせた所、雷狂組に小桃を売る事で多額の報酬を貰う魂胆だった、と判明した。


…あんな女を信頼していた自分に反吐が出る。

騒動の後、小桃を病院に連れて行くとくるみが言っていた通り、小桃は心臓病だ、と医者に説明された。

既に病院にデータがあったらしく、それによれば、小桃は幼少期から偶然にもずっとこの病院で病状の経過を診てもらっていたらしい。つまり本人は病気のことを自覚している、とのこと。