そこまで重労働な仕事はここにはないし、最後まで泉さんとここのみんなと楽しく笑って過ごしたい。

それが私が出した答えだった。

「え、と……」

でも。そうだとしても。

心臓病のことは言いたくない。

だから退学したことも言いたくない。

心配掛けたくないし。

ここにいるみんなは優しいから、きっと言ってしまったらサナちゃんはさっきみたく、私の手を引いておにごっこに誘ってくれなくなってしまう。

あんな小さい子に、そんなふうに気を遣って欲しくない。

返答に困っていると、泉さんがパチン!と手を叩いた。驚いて肩をすくめると…

「あっ、もしかして夏休み!?」

壁に掛けたカレンダーをまじまじと眺める泉さん。

「そうよね、もうそんな時期よね! もちろんよ! たくさんきて! サナちゃんなんか特に茅島さんのこと大好きだから、きっと喜ぶわ」

退学した私には関係のないことだけれど、本来夏休みまではあと2週間ほどある。

でも…

「ありがとうございます…っ」

ホッ、と胸を撫で下ろしながら私は頭を下げた。

***

「ももちゃーん、ばいばーい!」

「ばいばーーい!」

「ばいばい〜」