……ほんとずるい。

言わなきゃ……いいんだ、って。
黙ってればいいんだ、って。

なんてこと考えたんだろう、私……。

「……ふつう、の…、」

言葉が喉につっかえた。上手く出てこない。だけどちゃんとこの人には話さないといけないことを、私は理解していた。だから必死に言葉を繋げる。

全ての終わりを覚悟で。

「ふつうの…女の子でいたかった………っ」

絞り出した声はすごく、情けないものだった。

「普通の女の子でいたかったんです…っ、ごめんなさい…ごめんなさい……」

常に負い目を感じる人生だった。でも結くんの隣にいる間だけは…私は普通の女の子になれたような気がしてて。楽しくて仕方なかった…っ。

でも結果。
こうして結くんを騙すような形になってしまった。結くんが私の病気を知らないことを利用した。結くんが何も聞いてこないから、って結くんの優しさに甘えてた。

黙っていれば、この幸せがずっと続くと思ってしまった。

……なんて馬鹿で愚かな考えなんだろう。