ドスの効いた声に萎縮して。萎縮して。
どんどん恐怖心が増していく。

すると何も口を聞かなくなった私がつまらなくなったのか急に黙ったくるみさん。考え込むように私を見下ろして、そして、また何かを思いついたように手を叩いた。

「あっ、そうだ! 心臓病ならいつ何があってもおかしくないわよねっ? 今ここであんたが死んでもなんら不思議じゃない!!! そしたら結、あたしと結婚してくれるかなぁっ」

「…っ」

もう分かる……。

くるみさんは……

結くんのことがきっとずっと好きだったんだ。

なのに私があとから来たから……

「あんたと違ってあたしなら結になーんでも与えてあげられる。あたし健康だし! どうせそんな身体じゃ子供だって産めないんでしょー?」

返す言葉がなかった。

だってくるみさんの言ってることは私が目を逸らし続けてきたこと…。何も間違ってない。

「あーあー、結、可哀想ー。結ってね、あぁ見えて子供好きなんだよー?」

「…っ、ぐすんっ……、ぅぅっ……」

……知ってるよ…、そんなこと………

ぐわん、と視界が歪む。コンクリートに涙が吸い込まれていった。

「え、なに? 泣いてんの? 超ウケるんですけど。悲劇のヒロインぶっちゃってる訳? うっざー」

「ぅっ……、ぅ…」

「まぁ、いいや。からかうのもこの辺にしといてあげる」

後ろの男に「もういいよ」と声を掛けるくるみさん。

それを合図に男達が私の身体を押さえつけた。