翌朝、私は何度もお礼を言って私達は、別々に登校した。…昨日は色々あったな。でも先輩の良い一面を知れて嬉しいな。そして離れることへの寂しさを感じる自分もいた。なんだろう、この気持ちは。私は恋人とかできあことないから恋なのかは分からないけどきっと違うだろう。そう思っていると、前から笑顔の女の子が駆け寄ってきた。
「あーかりっ!おはよ!」
それは千紗だった。昨日のこともあってか、ビクッと反応してしまう。
「お、おはよう千紗」
「ね、学校の王子様の噂聞いた!?」
王子様というワードにまたもや反応してしまう。…もしかして。
「女の人とファミレスに居たらしいよ!」
わー、バレてる。てか噂回るのはや〜。さすが王子様…。
「で、誰だから分かってるの!?」
「そ、それは分からないらしいけど、どしたの朱里?いつも興味無さそうにしてるのに…。ってもしかしてそのファミレスの女の子って…!」
「え?違う違う私は違うよ」
「そうだよね〜」
…ビビったー!千紗鋭すぎるよ。昨日のことは絶対に秘密にしなくちゃ。しばらく2人で歩いていると、前から男の人が走ってきた。
「おーい!千紗〜、朱里ちゃーん!」
その人物は、慧(けい)という千紗の彼氏だった。王子様だとかキャーキャー言っている千紗だけど、実は彼氏がいたのだ。まぁ、こんな美女男子がほっとくわけが無いのだけれど。
「慧ちゃん!」
そして2人はすっごく仲がいい。いつも見とれてしまう。そして見る度に彼氏欲しいなー、とが、幸せそうだなーとか思ってしまう。私もいつか彼氏ができるかな…なんて。そんな妄想が広がっていると、ふと先輩の顔が浮かんだ。しかし私はそれを振り払った。…っナイナイ!というか私なんか相手にされないって!1人で妄想を広げていると、千紗が「あ、時間やばいよ、行こう!」と私の手を引き、走り出した。

そして事件は起こった。

いつも通り四時限目が終わったその時、教室のドアから知らない女の人が、「朱里さんっているー?」と顔を出した。…え、私?千紗も気づいたのか、「え、朱里じゃない?」と言った。
「え、まって朱里、あの人3年生の人」
どうやら千紗が言うように、三年生の先輩らしい。…でもどうして私に用が?わけがわからないまま、教室のドアに向かった。
「私、ですけど…」
女の人の、前に立つと、彼女はふーん、と言って「こっち来て」と腕を引っ張られた。そして向かった先は階段の裏だった。すると、そこには複数の先輩達がたっていた。
「連れてきました〜」
さっきの女の人が言って輪の中に入っていった。
「ふーん、あなたが朱里さん?」
「は、はい」
なんか、この女の人の目が怖いんですけど!?もしかして私何かされる?そして私の嫌な予感は当たっていた。
「ねぇ、あんたでしょ。ファミレスにいたの」
ば、バレてる…。でもどうしてだろう。噂ではバレてなかったのに…。
「ち、違います…」
「嘘つかないでよ!」
ひぃ…!
「私たちはね、暁のこと好きなの」
こ、この人は先輩のファンなのか…。なら尚更私は邪魔者だ。
「ファミレスであんたのこと見たって言ってる子がいたのよ。どういうつもり?」
「えっと、あの…」
私は何か言い訳をしようとしたが、話を遮られた。
「言い訳はいらない。ファミレスのことも許してあげる。でもまたこのような噂がたったら次はただじゃおかない」
そして女の人は私を強く睨んだ。