…足速っ!ちょっと待ってよー!自分で送るとか言っておいて置いてくのはいどいよ…!そう思った瞬間、後ろからすごい勢いで自転車が接近した。走るのに夢中で気づかなかった。そして私はその自転車にぶつかってしまった。すると私の体は道路の方へ倒れた。…い、痛いっ!早く戻らなきゃっ。でも…足が痛い。多分多分ぶつかった時捻ったんだと思う。私は必死の思いで立ち上がろうとしたが上手く力が入らず何も出来なかった。しばらく立ち上がれずにいると、前から光が見えた。…もしかして…。そしてその嫌な予感は当たっていた。…車が来る。…やばい、早く立ち上がらなきゃ。じゃないと…ひかれるっ!しかし恐怖も重なったからか腰も上がらなくなってしまった。私…ここだ終わるの?お願い、誰か助けて…。誰か、誰か…。

「先…輩…」

私は力を振り絞って先輩を呼んだ。すると、先輩がふとこちらを向いて、顔を青ざめ、全速力で私の元へ駆けつけてくれた。

「朱里ーーーっ!」

…先輩。私の名前、呼んでくれた。
「先輩…。私立てないんです」
「分かった、」
そう言って先輩は私を抱き抱え、その場から助けてくれた。

「はぁっ、ビビったー。お前何やってんだよ」
「先輩…あの、私…」
ありがとう、と言おうとした瞬間、私の意識は途切れてしまった。