「また明日〜!」
「バイバーイ」
千紗と別れを告げた後、再びあの男の人が頭の中をよぎった。にしてもあんなイケメンこの世にいたんだ。千紗が一生懸命話してた理由が分かったよ。でも無愛想だからな〜。みんなどこがいいんだろう。やっぱ顔だよね。でも私は付き合うなら優しい人がいいな。そんな事を思っていると、家の近くの前で背中を丸めて座っている男の人がいた。…え、もしかして怪我人!?大丈夫かな…。あ、ていうかよく見たらうちの高校の制服来てる…。喧嘩でもしたのかな?私はしばらく男の人を遠くから見ていた。ん?なんか、抱えてる?荷物が落っこちそうなのかな?私は気になって少し距離を縮めた。近くなったおかげで話し声も聞こえるようになった。

「よしよーし、可愛いねー」

え?可愛い?もしかして妹さんと一緒なのかな?

「お前もふもふだな」

も、もふもふ!?妹さんもふもふ!?ってそんなわけないか…。もしかして犬?猫?え、待って猫だったら私も触りたいっ!私はすかさず男の人に声をかけた。

「あ、あのー」

すると男の人はビクッと肩を震わせ、振り向いた。…え。え、まってどういうこと!?私は男の人の顔を見てびっくりした。なぜなら彼は…。
-学校の王子様だから。

「…は?」

男の人もだいぶ戸惑ってるみたい。
「えっと、あのー」
「あ、てかお前今日あのスマホの…」
あ、あー、覚えてくれていたのか。とっくに忘れられてると思ってた。あ、そういえば猫!猫は!?私は彼の前の生物に目を傾けた。わぁ、可愛いっ!その生物はやっぱり猫で、白い毛でモサモサしていた。さ、触りたい…。けど、もしかしたらこの人の猫なのかもしれない。…そういえばこの男の人ずっと固まったままだよ?どしたんだろう…。や、やっぱり体調が悪いのかな!?
「あ、あの、大丈夫ですか?」
すると彼は俯き、ボソッと「終わった…」と言った。終わった?何が?
「おいお前」
「ひ、ひゃい!」
うぅ、男の人が急に話しかけるから変な声出ちゃったじゃんか…!
「このこと誰にも話すんじゃねぇぞ」
「え?このことって?」
「だ、だから、その…。俺が猫と遊んでたとこだよ。…チッ、言わせんなよ」
ヒッ!この人舌打ちした!?こ、怖すぎるよっっ!
「は、はいっ!では失礼しますっ!!」
私は早く家に帰りたかったので、すぐに返事をして家の中に入ろうとした。すると後ろから手を捕まれた。ヒィッ!も、もしかして殺される!?そう思って男の人を顔を見たが、焦っているように見えた。
「お、おいちょっと待てよ」
「あ、あの、大丈夫です!ちゃんと黙ってるので話してくださいっ!」
「無理。ちょっと来て」
私は無理やり男の人に連れていかれた。訳が分からないまま、近くのファミレスに連れてこられた。