「何よ、何よっ!私だって好きだよ?だから1番近くにいるあんたにムカついたんだよっ!」
女の人はすごく顔を赤くして私に怒鳴った。
「なんで…なんで私はこんなに頑張ってるのに振り向いてくれないの…?私はあんたよりも前にずっとアタックしてたっ!なのに全然振り向いてくれなかった!それなのに、急に入ってきたあんたが相手にされるなんておかしいっ!おかしいよっ!」
そして女の人が手を挙げた。…あ、ぶたれる。私は思わず目をつぶってしまった。しかし痛みは襲ってこなかった。…なんで?私が目を開けると、目の前には大きな背中があった。
「な、な、なんで暁くんが…」
「おい、何やってんの?朱里のこといじめてんの?」
…先輩。また。また助けてくれた…。
「ち、ちがっ!違うの暁くんこれは…」
「黙れっ!!」
「ひぃぃ…っ!」
「お前ら、次朱里をいじめたら容赦しねぇからな」
「は、はぃ、すみませんっっ!」
…す、すごい、みんな追い払った…。
「おい、大丈夫か?なにかされたのか?」
「あの、先輩、先ぱいっ!…」
好きです。好きですっ…先輩…。せんぱい…。
私はほっとしたのか、先輩の腕の中で意識が途切れた。