はぁ、はぁ。っもう、千紗早すぎ。そして当たりを見回しても千紗の姿が見当たらなかった。あれ、どこ行ったんだろう。私は連絡を取ろうとポケットに手を入れた。しかしそこに私が探していたものがなかった。…あれっ!?私のスマホは?もしかしてさっき走った時に落とした!?どうしよう、早く見つけなくちゃ。私は引き返し、さっき走った廊下を辿った。
…あれ、ない。廊下を一通り見たけど私のスマホは見当たらなかった。…どうしよう。スマホがないと連絡も取れないし…。1人であたふたしていると、後ろからトントンっと肩を叩かれた。慌てて後ろを振り返ると、1人の男の人が立っていた。

「…これ落ちてたんだけどお前の?」

その人の手にあったのは紛れもなく私のスマホだった。っ、スマホっ!良かったー、見つかった。私はスマホをとり、お礼を言おうとその人の顔を見た時、体が動かなくなった。その理由は-

とてつもなく整った顔だったから。
え…。私が今まで見た男の人の中でダントツでかっこいいんですけど…。あ、もしかしてこの人が王子様とかいう…?ってその前にお礼言わなきゃっ!
「あ、ありがとうございました。あの、どこにありました?」
「廊下に落ちてた」
「あ、やっぱり…」
「じゃあ」
そう行って男の人は私の前から去っていった。すっごく無愛想だったな。クールって噂も本当だったのか。1人で立ち尽くしていると、千紗が走ってこちらに向かってきた。
「朱里ー!ごめーん!」
「あ、千紗っ!置いてったこと怒ってるからね」
「ご、ごめんって!そういえば王子様教室には居なかったんだ。ざ〜んねんっ!」
「あ、そ、そうなんだ〜」
何故かさっきあったことが言えなかった。その理由は分からないけど、きっと急に会っちゃってビクッくりしちゃったんだと思う。
「あー、疲れたー、早く帰ろう〜」
千紗がそう言ったので、私も早く帰ることにした。