「着きましたよお嬢さん」
 
 次に声をかけられた時見たものは――植物に覆われた森のような、外観のお店だった。

 絵本の世界観だ。

「あの……ここは?」

「だから俺の店ですって」

「何のお店ですか」

「そんなもの必要ですかねぇ」

「…………へ?」


 この人今なんて? ごくごく普通の事を質問したのだが、まさかそんな風に返されるとは思わなかった。


 「そういった固定概念がまったくないんで。お嬢さんはそういうのめっちゃうるさそう」


「うるさそう!? 勝手に連れて来て、その言い草はないんじゃないんですか!」

「まるで、猫がケンカしとるみたいな感じの子みたい」

 
 それってどんな子ですかって思わず言い返したくなる気もちを抑え、なるべく冷静に……と静かに自分に語りかける――効果は、言うまでもない。