「かーなーちゃん〜〜」

 その後はもう記憶が真っ白になって――気がついたら涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔で、同じクラスメイトの友達に泣きついていた。

「あんたまたなの? ほんと懲りないね」

「だってー井ノ原くん顔がもろ好みだったの! イケメンだったの!」

 「いい加減、イケメンに飛びつくのやめな」 


 ショートヘアがよく似合うイケガールの香菜ちゃんは、相変わらず塩だ。

 もう慣れっ子なのでちっとも気にしないけど! だって私はイケメンが推しで、イケメン命なんだからね。


 「ねぇ香菜ちゃん。誰かいいイケメンの知り合い紹介して?」

 「茉白はもう少し現実みな。イケメン以外にやることないの」

「んーない!!」



 そんなどうでもいい会話をしていると、すぐ元気になる。――よし。帰りにアイスでも買って、元気だそう。


 甘いものは正義なんだよ!!