「あっつ…」

いつもより長風呂しちゃった。いろいろ考えが止まらなくて、ぐるぐる考えてたら浸かり過ぎちゃって…

いや、もう考えない!これでいいんだもん! 

お風呂に入る前にリビングから持って来たドライヤーのコンセントを入れてそのまま脱衣所で髪の毛を乾かした。

すぐ乾かさないと痛むし、ヘアオイルは念入りにしたいし、ここでやる方が効率いいからで決してもう一度ドライヤーをリビングに持ち込むのがどうのってわけじゃない。また頭の中で回り始めそうなモヤッとした感情をドライヤーで吹き飛ばした。

「あ~、喉乾いた~!」

髪が長いおかげで人より絶対時間がかかってるドライヤーはまだほとんど夏みたいな9月は結構きつくて、でも切りたくないし髪の毛のポテンシャル高く持ってたいし乾かし終わった後は喉がカラカラだよ。

パタパタと手で仰ぎながらキッチンの方に向かい冷蔵庫を開ける。冷えたお茶を飲もうと水切りラックからコップを手に取った。

「真白もお茶飲む?」

もう1つコップを手に取ってお茶を注ごうとしたけど、返事がなくてソファーの方に目を向ける。

「真白…?」

でもそこに真白の姿はなくて。

コップを置いてキョロキョロと部屋の中を見渡した。冷房で冷やした部屋の中にひゅーっと生ぬるい風が入って来た。

「真白、何してるの?」

ベランダに出て外を見つめる真白がいたから。

聞こえてないみたいで、ぼぉーっと外を見続けている。
ここは3階、特に高いわけでもなくてとりわけ景色がいいわけでもない。

だから顔を上げ、夜を見つめるみたいに空を見ていた。