瑠璃(るり)!お母さん今日から出張だけど大丈夫?」

安達瑠璃(あだちるり)、高校2年生。 
お母さんとマンションで2人暮らし、2人だけど楽しいし何の不自由のないしこれと言って困ったこともない。

「大丈夫だよ、出張なんて今までも何度もあったじゃん」

「そうだけど、こんな長期は初めてだしそれに今日は…」

バリバリのキャリアウーマンのお母さんは休む間もなく働いて出張だってなんのその、まぁ1ヶ月って長さは初めてだけどね。でも別に普段と変わらないし、特に何か思うことはなくて。

「やっぱ出張やめようかなぁ」

「何言ってんの!お母さんに働いてもらわないと私困るんだけど!」

「瑠璃…」

お母さんがお父さんと離婚したのは8年前、私が小学校3年生の頃だった。

さすがに物心ついてる小学校3年生、離婚するって聞いた時は悲しかったし離れなきゃいけないって言われた時は寂しくて…

夜中ずっと泣いてた記憶だけは残ってる。

「じゃあ…お母さん行くけど真白によろしくね、お昼過ぎにこっちに着くみたいだから」

「うん、わかった」


今日はあの日別れた弟の真白が帰って来る。