「代わって」

「え?」

背中で結んであったエプロンの紐をスルッとほどいて剥がされるように奪われた。そのまま自分のを首にかけてキュッと背中で紐を結ぶ。

「さっき冷蔵庫見た時思ったんだよねー、作り置きいっぱいあるなぁって」

「あ、あれは…お母さんがっ」

「お昼食べたそぼろご飯も母さん?」

「うん…」

「超うまかったわ」

少し目にかかりそうな髪を耳にかけて、手を洗ってパパッとタオルで拭いて包丁を握る。

まだ何もしてないのにすでに様になってる気がする。

気付けば横においやられ取られてしまったキッチンで、玉ねぎをまな板に乗せて上と下の部分を切り落とし皮を剥いた。ツルツルになった玉ねぎを繊維に合わせて半分に切って、さらに繊維に沿うようにサクサクと切っていく。

包丁使うのうまぁー…
私そんなテンポよく切れないよ?

「瑠璃ねーちゃんこれ炒めてくれる?あめ色になるまでね」

「あめ色…?」

「あー、玉ねぎがタラタラになって茶色っぽくなるまでってこと」

へぇーそれをあめ色って言うんだ、真白は知ってたんだあめ色…
私はやったこともなければそんな言葉も初めて聞いたよ。