「今日の夕飯はカレーだよ!」

スーパーで買って来た玉ねぎにんじんじゃがいもとお肉をキッチンに並べて、まな板と包丁を用意した。あ、あとお鍋もいるね。

お母さんのエプロンを借りて、夕飯作りの始まりです。

「えっと作り方は…」

「スマホ見ながら!?」

キッチンの前で顔を覗かせてた真白が勢いよく突っ込んだ。今の間はすごいよかった。

「だって見ないとわかんないじゃん、でも見たらできるよ書いてあるもん!」

「なんで作ったことないの選んだの!?作ったことあるやつにすればいいのに」

カレーの作り方で検索するとたくさんレシピが出て来た、ありすぎてどれが普通の作り方かもわかんないぐらい。

「…だって作ったことないんだもん」

むぎゅっと口を尖らせて、あんまり話したくないこともあってごにょごにょ誤魔化しながら。

「…料理したことないもん」

これはめっちゃ自慢なんだけど、うちのお母さんは料理がこの上なく上手い。なんてたってフードコーディネーターのお仕事をしているくらいだ、今日も取材やらなんやらで出張してるぐらいだもんね。

「じゃあなんでカレー作ろうと思ったの?」

「だって真白が…」

「俺が?」

「カレー好きだったじゃん」

それも昔の記憶だけど、よくお母さんの作るカレーを頬張ってたなって。牛乳だって今も好きなんだからカレーも好きかなって、それで…