「瑠璃ねーちゃん全然変わってない!」

「……。」

「この頃のまんま!」

…変わってるでしょ、髪の毛だって伸びたしツヤツヤになったでしょ。

そりゃ真白ほど変わって… 


なんとなく真白の顔を見たら目が合ってにこっと微笑み返された。


ドキッて変に戸惑っちゃって、隠したお父さんからの手紙がちょっと曲がっちゃった。

「まっ真白、お昼過ぎに来るって言ってなかった?お母さんにそう聞いてたから」

視線を落としてかき集めた手紙を引き出しにしまう。

「あぁ、そのつもりだったんだけど早く行きたいなって思って」

出した時もぎゅうぎゅうで全然出て来なかったけど、これは戻す方が大変かもしれない。どんだけ引き出しを押しても入って行かなくて、息を吸って吐くタイミングで思いっきり両手でグッと押し込んだ。

「瑠璃ねーちゃんに早く会いたかったし」

「え?」

その瞬間、ドンッと鈍い音をさせ引き出しが閉まった。

その勢いに飛ばされた1通の手紙以外は。


あ!お父さんからの手紙…!!


あわてて手を伸ばす、パンッてかるた部ごとく凄まじい俊敏性で。

「ねーちゃん?」

「わ、私も!」

「ん?」

「会いたかったよ」

ぐーっと手紙を引き寄せてそのままズボンの後ろポケットに押し込んだ。

「会いたかった、真白に」

顔を上げて笑って見せる、私も。

そしたら真白も笑うかなって…

「うん」

笑ってた。

笑ってたけど…


そんな大人みたいな笑い方するんだね、そんな笑い方もできるんだ。


小学校1年生だった真白も高校2年生。

あの頃と変わらないわけないよね。

変わってあたりまえだよね。