そっか、と一度は頷いたものの、ふと疑問が過ぎった。


――――タバコが行方不明?


私と裏ボスがピーラーを探していた時、沢村先生は中庭でタバコを吸っていた。そして車に向かうことになり、ジャージの上着と一緒に、タバコもベンチに置いていったはず。


宿泊棟は施錠されていて入れない。でも、あの3人組は桜井先生と一緒だった。


マズイ。考えれば考えるほど、悪い方へ想像が膨らんでいく。


なんの確信もないけど、自信ならあるんだ。

裏ボス達がこちらを敵視しているのは、ほぼ間違いない。なにより私が想定できている時点で、絶対にありえない、はあり得ない。


今から中庭へ行って確認している時間はないだろう。出遅れた分を取り戻し、なおかつ先回りするとしたら、やるべきことは一つ。

善は急げって言うけど、悪事こそ速やかに、だ。


「先生。今って、部屋に戻ることできますか?」

「今ですか? 基本は許可してませんが、どうかしました?」

「ちょっと、取りに行きたいものが……」


下腹部に軽く手を添え、恥じらったように俯く。

男性教師が相手なら対処法は簡単。サニタリー用品を連想させれば、こちらの勝ち。


「部屋の前までは僕が付き添いますが、良いですか?」


鍋の火を止めた私は、クラスメイトにカレーが温まった旨を伝え、一糸先生と一緒に宿泊棟へと向かう。


ドアの前まで来ると先生は、ここで待っていますので、と言いながら鍵を開けた。


部屋へ入ると、壁際にまとめられたバッグの中から、まずは自分の物を探す。

中身が散乱するのもお構いなしに漁ってみるが、見当たらない。サイドポケットにも何もなし。


――――とすれば。