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 4月第1週は連日晴天が続いていた。

「最高の花見日和だね」

 ルチオは朝からご機嫌だった。

「日頃の行いがいいからね」

 アントニオが鼻をツンと上に向けると、あらそう? というような表情で奥さんが笑った。
 弦は吹き出しそうになったが、アンドレアがいないことに気づいたので訊くと、「それどころじゃないってさ。練習を休むわけにはいかないって、さっき飛び出していったよ」とアントニオが口を尖らせて両手を広げた。

「でも、ユズルがいるからいいじゃないか」

 ルチオが弦の肩を抱くと、「まあね。ユズルは息子同然だからね」とアントニオが機嫌を直して頬を緩めた。