「まあ、初夏みたい」
部屋に入ってきたウェスタが目を丸くした。
3月に入って温かくなってきたとはいえ、夜になると10度を切る外気温に比べると異常な温度設定だった。
それでもフローラはさも当然という口調で返した。
「ジェラートを食べる時はこれくらい温かくしないとね」
「まあね」
呆れたような表情を浮かべたウェスタだったが、「残り物だけど勘弁してね」と言いながら、手に持った紙袋からサンドウィッチを取り出した。
『サイコロステーキとチェダーチーズのサンド』と『スティルトンチーズとポートワインのサンド』だった。
イングリッシュ・マフィンに挟まれた特別なサンドウィッチに見つめられたフローラは我慢できなくなって「いただき」と声を出したが、「ます」までは言わせてもらえなかった。
「ちょっと待って」と制したウェスタは部屋を出ていき、戻ってきた時にはスパークリングワインとグラスが乗ったトレイを持っていた。
もちろん2人が愛飲する『メディチ・エルメーテ』で、ウェスタは音を立てないように栓を抜いてグラスに注いだ。
「乾杯!」
「お疲れ様!」
2人の声が弾んだ。
「これって見たことない」
「簡単なのよ。スティルトンチーズにポートワインをかけて粗くほぐしただけなの」
「へ~、そうなんだ」
感心して口に入れると、そのおいしさに思わず頬が緩んだ。
「熟成タイプのようなコクがあるでしょ」
フローラは思い切り首を縦に振った。
そして、青カビタイプ特有のピリッとした刺激をポートワインの上品な甘みが包み込んでなんとも言えない風味を感じたと告げた。
すると 今度はウェスタが頷いて、「スティルトンとポートって最高のカップルなのよ。それに、マフィンとスティルトンはイギリス同士だから肌が合うのよね」としたり顔になった。
「そうか、イギリス同士か。なるほどね」
「それにさ、そもそもサンドウィッチ自体がイギリス発だからね。サンドウィッチ伯爵に乾杯!」
いきなりがグラスを掲げたので慌ててグラスを掲げて口に付けると、ウェスタの蘊蓄が始まった。
部屋に入ってきたウェスタが目を丸くした。
3月に入って温かくなってきたとはいえ、夜になると10度を切る外気温に比べると異常な温度設定だった。
それでもフローラはさも当然という口調で返した。
「ジェラートを食べる時はこれくらい温かくしないとね」
「まあね」
呆れたような表情を浮かべたウェスタだったが、「残り物だけど勘弁してね」と言いながら、手に持った紙袋からサンドウィッチを取り出した。
『サイコロステーキとチェダーチーズのサンド』と『スティルトンチーズとポートワインのサンド』だった。
イングリッシュ・マフィンに挟まれた特別なサンドウィッチに見つめられたフローラは我慢できなくなって「いただき」と声を出したが、「ます」までは言わせてもらえなかった。
「ちょっと待って」と制したウェスタは部屋を出ていき、戻ってきた時にはスパークリングワインとグラスが乗ったトレイを持っていた。
もちろん2人が愛飲する『メディチ・エルメーテ』で、ウェスタは音を立てないように栓を抜いてグラスに注いだ。
「乾杯!」
「お疲れ様!」
2人の声が弾んだ。
「これって見たことない」
「簡単なのよ。スティルトンチーズにポートワインをかけて粗くほぐしただけなの」
「へ~、そうなんだ」
感心して口に入れると、そのおいしさに思わず頬が緩んだ。
「熟成タイプのようなコクがあるでしょ」
フローラは思い切り首を縦に振った。
そして、青カビタイプ特有のピリッとした刺激をポートワインの上品な甘みが包み込んでなんとも言えない風味を感じたと告げた。
すると 今度はウェスタが頷いて、「スティルトンとポートって最高のカップルなのよ。それに、マフィンとスティルトンはイギリス同士だから肌が合うのよね」としたり顔になった。
「そうか、イギリス同士か。なるほどね」
「それにさ、そもそもサンドウィッチ自体がイギリス発だからね。サンドウィッチ伯爵に乾杯!」
いきなりがグラスを掲げたので慌ててグラスを掲げて口に付けると、ウェスタの蘊蓄が始まった。