その後もカルテットでの演奏が3曲続き、アンコールを1曲やって終わりを迎えた。

 ステージから消える時、アンドレアから合図が送られてきた。
 バックステージに来いという意味だと理解した弦は席を立ってその方へ向かった。
 
 店の人に案内されてバックステージに入ると、ハイタッチをしているアンドレアの姿が見えた。
 満足げな表情を浮かべていた。
 メンバーを紹介されたので一人ずつ握手をして素晴らしい演奏だったと伝えると、これから軽く飲みに行こうと誘われた。

「でもまだお酒を飲める年齢ではないから……」

 ニューヨークでは21歳以上でないと酒は飲めなかった。
 そういう場所では写真付き身分証明書が求められるのだ。

「もちろん俺たちはノンアルコールに決まっているだろ」

 アンドレアが当然というような顔で弦の腕を取った。