顔を上げると、どこからかやってきた桜の花びらが舞うように肩に落ちた。
弦はそれをつまもうとしたが、それより先にルチオが手に取って嬉しそうに頷いた。
「さあ行こう」
優しそうな笑みを浮かべたルチオに背中を押されて弦は歩きだした。
少し歩くと、大きな池が見えた。
「タイダルベイスンだよ」
元々ポトマック川の一部だったものを埋め立てて造ったものだという。
池の周りに桜並木ができてとても綺麗だったので眺めていると、耳に軽快な音が飛び込んできた。
「あっ、マーチングバンドだ。チアリーダーもいる」
視線の先で鼓笛隊と吹奏楽団が華やかな演奏を繰り広げていた。
それを食い入るように見ていると、さっきまでの落ち込んだ気持ちはどこかに消えていった。
「凄いな~。歩きながら演奏するのって大変なのに」
感心しながらも弦の視線は楽団ではなくチアリーダーに向かっていた。
白と濃紺で統一されたビキニスタイルの若い女性たちが金と銀のポンポンを音楽に合わせて振り動かしていて目が離せなくなった。
その時、一斉に大きく足が上がった。
ヒールの先が頭より上まで上がっていてその柔軟さとセクシーさに弦は目を奪われ続けたが、突然アントニオが「彼女にしたいと思う人はいるかい?」と肘で突いてきた。
「みんな。えっ?」
からかわれている事に気づかずに本音が出た弦はハッとしてバツの悪い思いに捕らわれたが、「あなた!」と奥さんが諫めたので、アントニオは気まずそうに両手を広げたあとシュンとした顔になった。
それを見てルチオが笑い出したが、話題を変えるように「さあ、何か食べに行こう」と背中を押したので、まだチアリーダーに未練たっぷりだったが、仕方なく歩き始めた。
弦はそれをつまもうとしたが、それより先にルチオが手に取って嬉しそうに頷いた。
「さあ行こう」
優しそうな笑みを浮かべたルチオに背中を押されて弦は歩きだした。
少し歩くと、大きな池が見えた。
「タイダルベイスンだよ」
元々ポトマック川の一部だったものを埋め立てて造ったものだという。
池の周りに桜並木ができてとても綺麗だったので眺めていると、耳に軽快な音が飛び込んできた。
「あっ、マーチングバンドだ。チアリーダーもいる」
視線の先で鼓笛隊と吹奏楽団が華やかな演奏を繰り広げていた。
それを食い入るように見ていると、さっきまでの落ち込んだ気持ちはどこかに消えていった。
「凄いな~。歩きながら演奏するのって大変なのに」
感心しながらも弦の視線は楽団ではなくチアリーダーに向かっていた。
白と濃紺で統一されたビキニスタイルの若い女性たちが金と銀のポンポンを音楽に合わせて振り動かしていて目が離せなくなった。
その時、一斉に大きく足が上がった。
ヒールの先が頭より上まで上がっていてその柔軟さとセクシーさに弦は目を奪われ続けたが、突然アントニオが「彼女にしたいと思う人はいるかい?」と肘で突いてきた。
「みんな。えっ?」
からかわれている事に気づかずに本音が出た弦はハッとしてバツの悪い思いに捕らわれたが、「あなた!」と奥さんが諫めたので、アントニオは気まずそうに両手を広げたあとシュンとした顔になった。
それを見てルチオが笑い出したが、話題を変えるように「さあ、何か食べに行こう」と背中を押したので、まだチアリーダーに未練たっぷりだったが、仕方なく歩き始めた。