こんな適当な相槌しか打てなくて申し訳ないけれども……それでも、なんとか笑顔で誤魔化してみる。

「優壽は、好きな人いるの? 男でも女でもいいけど」

 ビクッ……突然話を振られて、肩が跳ねる。

 この話は、何度か話したことがある……どれも、紗英ちゃんに質問されたからだ。

「だ、だから、私、恋したことない……! てかしない!」

 恋なんて、私には遠い話でしかないし、そんなの恥ずかしすぎて考えられない。

 それに……例え好きな人がいても、私みたいな人に、神様が微笑んでくれるはずもない。

 だから、恋はしないって、きっぱり誓った。

「え〜。紗英、優壽には恋してほしいよ〜」
「で、でも……」

 私は、車窓に一瞬映った自分の姿を確認する。