「今川さん、これお願いしてもいい?」
そんな声が聞こえて、くるりと体の向きを変える。
そこにいたのは担任。
何やら重そうにプリントの束を抱えている。
わたしの周りにいる人たちはそんなこと気にした様子はまったくなくて、そそくさと帰る準備を進めていく。
なんでこの人は毎回毎回こうも放課後に言ってくるのか。
「はい、いいですよ」
「本当に!!」
そして毎回毎回断れないわたしはなんなのか……。
ドサッと重たいプリントがわたしの机にのる。
「じゃあ、終わったら職員室まで届けて」
そう言い残すと足早に教室をでていった。