少し歩けば神楽家の黒塗りの高級車が見えてきた。
わたしたちが近づくのが見えると、運転手が後部座席の扉を開ける。
ちらっと運転手を見るとアイコンタクトで
"遅れた理由はあとで"
そんなことを言われた気がする。
二人が乗り込むと車は動き出した。
なんて、言い訳しよう……。
優衣に手伝ってもらってたはまずいし。
わたしを待ってたもそれはそれで面倒なことになるような…。
車の中は外の音がまったく聞こえず、会話もなく、静まり返っていてなんだかいたたまらない。
ちらっと優衣を見ると外を見ながら眠いのかあくびをしている。