次の日、なぎさは登校した。黒のハイカット丈靴下をはいていた。なぎさは、「自由学園高等学校」と彫られた正門をくぐった。制服姿が登校している。
 「あ、原宿さんだ」
 と背後から声がした。
 「おおい、原宿さあん」
 振り向くと、(れん)だった。なぎさは思わず笑顔になった。
 「蓮先輩」
 と、なぎさ。
 「原宿さん」
 と、蓮が微笑んだ。蓮がなぎさの前にたった。金髪(ブロンド)の長髪。キレイな顔だった。
 「あ、ヤンキーだ」
 と、通りかかった女子がいった。
 え、となぎさは思った。
 「おはよう」
 と、蓮。
 「おはようございます」
 と、なぎさ。
 「ヤンキーといる」
 と、通りすがりの女子がいった。
 え、となぎさ。蓮は微笑んでいる。
 「ヤンキー」
 「あんなヤンキー」
 「あんなヤンキーが来た」
 通りすがりの女子が蓮を見てやじっていく。蓮が悲しそうな顔をした。
 (え、なにこれ?)なぎさは不審に思った。
 「ヤンキー、やくざ、不良」
 と、女子。
 「あんなヤンキーが出てきたぜ」
 と、遠くの方で男子がいった。
 「ヤンキーがいる」
 「ヤンキー」
 「ヤンキーが女子といる」
 遠くの方からも男子や女子がやじっている。
 (何これ。なんなのこれ。これってまるでやくざ映画じゃん)と、なぎさは思った。蓮はうなだれていた。
 「ヤンキー」
 「髪が長い」
 「金髪」
 みんながやじっている。
 「あんなヤンキー」
 と、女子。
 なぎさは呆然とした。(こいつらおかしいよ。不気味だよ。怖いよ。言動異常者だよ)
 「ヤンキーが出てきたぞ」
 「あんなヤンキーが帰って来たあ」
 「ヤンキーがいる」
 「女子といるぞ」
 「ヤンキーが起きてきたあ」