無情に玄関のドアが閉まる。



借金取りって何!?



私は珊瑚を抱っこしたまま外へ。




「お母さん!!」




小さく見えた背中に叫ぶ。



けれど




「お母さんなんて呼ばないで。アンタのせいでどれだけ幸せを逃したか。ここまで育ててやっただけでもありがたく思って」




本当に、愛情の欠片もない冷めた目が私を射抜く。



その目を見たら動けず、声も出せなかった。




「借金もアンタを育てるためのものだったから、アンタが返すのが筋よね?よろしく〜」




ストン……と私は腰を抜かしその場に座り込んだ。




「……大丈夫ですか?」



「……」



「ふぇっ……」



「!!」




珊瑚!!




「ごめんっ。ごめんねっ。オツム替えようねっ」



「あの」



「ああ、すみません。お騒がせして」




腰なんて抜かしている場合じゃない。




「俺」



「すみません」




珊瑚を守らないと。




「大丈夫。お姉ちゃんが居るからね」



「……」




ニッコリと珊瑚に微笑んで、部屋に戻った。




もうオムツはパンパンで、珊瑚がどれだけ気持ち悪かったか。



なんかもう沸々と湧いてくる怒り。




ババァ……。



幸か不幸か、あんな母親に育てられて。



少々のこと……今回のことは少々のことではないけれど。



めげない・折れない・挫けないでやってきた。



所詮、私もあの人の子供で、神経が図太いんだろう。



だから考える。



これから先のことを。



最優先は……



最優先は考えるまでもない。




珊瑚だ。



珊瑚だけは幸せにーー。



腕の中で眠る可愛い寝顔を見ながら、考える。




そして