「王太子殿下におかれましては、ご機嫌麗しく。初めまして。ローレン家からまいりました、プリムローズ=ローレンと申します。お招きいただき、大変光栄に存じます」
シン…と静まり返る中、プリムローズはひたすら頭を下げ続ける。
何か反応がない限り、こちらから動いたり更に言葉を発することは許されない。
そう思ってひたすら待つが、いつまで経っても王太子は口を開く素振りもない。
(あら?私、挨拶したと思ったけれど、気のせいだったかしら?)
真顔でそんなことを考えていると、ようやく低い声が響いた。
「勘違いするな」
…は?とプリムローズは心の中で首をひねる。
(やっぱりまだ挨拶していなかったのかしら?)
すると再びよく響く低い声がした。
「私はそなたを招いた覚えはない。なんとそそのかされて来たのか知らんが、妃候補だなどと思っているなら大きな間違いだ。だがこちらが迷惑をかけたことは認め、迷惑料として金貨五十枚を授ける。それを持ってとっとと帰れ」
うつむいたまま、プリムローズはまばたきを繰り返す。
(え?何がどうなって…)
「聞こえなかったのか?この話は破談だ」
ようやくプリムローズはゆっくりと顔を上げる。
「あの…、破断の理由というのは?」
小さく尋ねると、王太子がギッ…と椅子の向きを変えてこちらを見た。
深海のような深い碧色の髪に、切れ長で鋭い漆黒の瞳。
スッと通った鼻筋とシャープなフェイスライン。
「…理由は」
王太子と目が合った。
「性格の不一致だ」
シン…と静まり返る中、プリムローズはひたすら頭を下げ続ける。
何か反応がない限り、こちらから動いたり更に言葉を発することは許されない。
そう思ってひたすら待つが、いつまで経っても王太子は口を開く素振りもない。
(あら?私、挨拶したと思ったけれど、気のせいだったかしら?)
真顔でそんなことを考えていると、ようやく低い声が響いた。
「勘違いするな」
…は?とプリムローズは心の中で首をひねる。
(やっぱりまだ挨拶していなかったのかしら?)
すると再びよく響く低い声がした。
「私はそなたを招いた覚えはない。なんとそそのかされて来たのか知らんが、妃候補だなどと思っているなら大きな間違いだ。だがこちらが迷惑をかけたことは認め、迷惑料として金貨五十枚を授ける。それを持ってとっとと帰れ」
うつむいたまま、プリムローズはまばたきを繰り返す。
(え?何がどうなって…)
「聞こえなかったのか?この話は破談だ」
ようやくプリムローズはゆっくりと顔を上げる。
「あの…、破断の理由というのは?」
小さく尋ねると、王太子がギッ…と椅子の向きを変えてこちらを見た。
深海のような深い碧色の髪に、切れ長で鋭い漆黒の瞳。
スッと通った鼻筋とシャープなフェイスライン。
「…理由は」
王太子と目が合った。
「性格の不一致だ」