「そろそろよろしいでしょうか?皆、待ち切れない様子ですので」
レイチェルが尋ね、プリムローズとマルクスは頷いた。
外からは「マルクス様ー!」「プリムローズ様ー!」と、ひっきりなしに声が聞こえてくる。
セドリックが生まれてから一週間後。
国民が次々と宮殿を訪れ、お祝いの印にとたくさんの野菜や果物を届けてくれるのを見て、プリムローズとマルクスはセドリックをバルコニーからお披露目することにしたのだった。
話を聞きつけて、朝から続々と国民が集まって来る。
シルベーヌの国民、カルディナの国民。
そんな垣根はもう微塵も感じられない。
皆が肩を寄せ、わくわくと待ち切れない様子で、互いに「楽しみだね!」と声をかけ合っていた。
「プリムローズ、行こうか」
「はい」
マルクスがプリムローズの肩を抱いて、バルコニーに姿を現した。
わあっ!と一気に人々が歓声を上げる。
「マルクス様!プリムローズ様!おめでとうございます!」
皆が口々にお祝いの言葉を述べ、マルクスは手を挙げて応える。
プリムローズもにっこり微笑むと、身体の向きを少し変えて、両腕に抱いたセドリックをお披露目した。
「きゃー!セドリック王子!」
「なんて可愛らしいの」
女性達の黄色い声が上がる。
「おお、なんと輝かしい命だろう」
「これからこの国はきっと栄えていくぞ。セドリック王子の成長と共に」
年輩の男性達は、そう言って目を細める。
そんな国民達の様子を、少し離れたところから、シルベーヌ国王が見守っていた。
(この国にこんなにも素晴らしい瞬間が訪れるとは。心置きなく、この国はマルクス殿下に任せられる。未来のマルクス国王、プリムローズ王妃、そしてセドリック王子に)
人々の歓声の中、プリムローズはセドリックを優しい眼差しで見つめたあと、ふと顔を上げてマルクスに微笑む。
マルクスもプリムローズに微笑むと、肩を抱き寄せ、そっと頬にキスをした。
わあっ!と更に大きな歓声が上がる。
春のまばゆい日差しの中、輝かしいマルクスとプリムローズ、そしてセドリックの姿に、誰もが皆明るい未来を信じて、喜びの声を上げ続けていた。
(完)
レイチェルが尋ね、プリムローズとマルクスは頷いた。
外からは「マルクス様ー!」「プリムローズ様ー!」と、ひっきりなしに声が聞こえてくる。
セドリックが生まれてから一週間後。
国民が次々と宮殿を訪れ、お祝いの印にとたくさんの野菜や果物を届けてくれるのを見て、プリムローズとマルクスはセドリックをバルコニーからお披露目することにしたのだった。
話を聞きつけて、朝から続々と国民が集まって来る。
シルベーヌの国民、カルディナの国民。
そんな垣根はもう微塵も感じられない。
皆が肩を寄せ、わくわくと待ち切れない様子で、互いに「楽しみだね!」と声をかけ合っていた。
「プリムローズ、行こうか」
「はい」
マルクスがプリムローズの肩を抱いて、バルコニーに姿を現した。
わあっ!と一気に人々が歓声を上げる。
「マルクス様!プリムローズ様!おめでとうございます!」
皆が口々にお祝いの言葉を述べ、マルクスは手を挙げて応える。
プリムローズもにっこり微笑むと、身体の向きを少し変えて、両腕に抱いたセドリックをお披露目した。
「きゃー!セドリック王子!」
「なんて可愛らしいの」
女性達の黄色い声が上がる。
「おお、なんと輝かしい命だろう」
「これからこの国はきっと栄えていくぞ。セドリック王子の成長と共に」
年輩の男性達は、そう言って目を細める。
そんな国民達の様子を、少し離れたところから、シルベーヌ国王が見守っていた。
(この国にこんなにも素晴らしい瞬間が訪れるとは。心置きなく、この国はマルクス殿下に任せられる。未来のマルクス国王、プリムローズ王妃、そしてセドリック王子に)
人々の歓声の中、プリムローズはセドリックを優しい眼差しで見つめたあと、ふと顔を上げてマルクスに微笑む。
マルクスもプリムローズに微笑むと、肩を抱き寄せ、そっと頬にキスをした。
わあっ!と更に大きな歓声が上がる。
春のまばゆい日差しの中、輝かしいマルクスとプリムローズ、そしてセドリックの姿に、誰もが皆明るい未来を信じて、喜びの声を上げ続けていた。
(完)