「せいらのくれたお菓子、おいしかったよ」
「わたくしも美味しくいただいたわ。部屋の隅で今も勉強してるルームメイトさんも、勉強の合間においしそうに食べてたわよ」
「それはよかった」

 ☆

「せいらのルームメイトさんっていつも勉強してるよね。すごいなぁ」
「ええ。彼女はより勉学を突き詰めるためにこの学園に入ったのだそうよ。だからね、出会って最初に、ご近所づきあいはすべてわたくしに任せると言ってきたの」
「え、そのセリフが被ることなんてあるんだ……! 私のルームメイトもそんな感じだよ」
「奇遇にもほどがあるわね」

 ☆

「ひより。念のため聞くけれど、あなたのルームメイトの名前って『白銀(しろがね)(れい)』だったり……?」
「え! 合ってるけど……どうしてわかったの? せいら」
「実はね、白銀(しろがね)(れい)というのは私の婚約者の弟なの」
「じゃあもしかして、せいらの婚約者は生徒会長の?」
「ええ。事実は小説よりも奇なり、ってところかしら」

 ☆

「まさか、ひよりとクラスが分かれるなんて……」
「せいらが一緒になれると思ってたのにびっくりだよ。だって、白銀学園って能力でクラス分けされるんでしょ?」
「ひよりは私より優秀よ! わたくしが最上位クラスならひよりだって同じはず!」
「買い被りすぎだよ、私は勉強が得意じゃないし」

「くぅ……こうなったら、勉強してわたくしのクラスまで上がってきてください!」

「ええ〜〜〜〜!?」
「わたくしは教えるのがうまくないけれど、あなたのルームメイトなら教えるのも上手だと思うわ。嫌われてなければだけれど」
「嫌われてはないだろうけど……」
「じゃあさっそくお部屋に戻って! 応援してるわ!」
「…………泣いてもいいですか?」