どれほどショックを受けても、身体はいつも通り動くもので。

 寝る支度を終え、寝る時用の使い捨てマスクを箱から取り出す。
 箱が空になった。

 新しい箱を取り出して開ける。と、2つ折りの紙切れが出てきた。

 紙を広げる。

 ひよりの字だ。

『これを怜が読んでるってことは、私は今学園に居ないのかな。
 私は大丈夫だから、安心して、怜も自分の望みを追いかけて。
 こんな形でしか言葉にできなくてごめんね。
 大好きだよ。今までも、これからも。』








 ……俺は。

 はじめて自分を愛してくれた人を。

 初恋の人を。

 どれだけ苦しめた?

 どれだけの恩を仇で返した?

 急速に頭が冷えていく。

 自分の望みは、ひよりと共に生きること。
 だというのに自分は。

 洗脳されていたとはいえ、夕陽まむとの仲を深め、ひよりと距離を置いた。

 取り返しのつかないことを、いや、()()()()()()()()()()()()()()()をした。

 そういえば最後の日だって彼女はシグナルを発していた。
 遠回しに、俺が置かれた現状に気づけるようなヒントを残していた。
 けれど自分は今の今まで、手遅れになってしまうまで気づけなかった。

 許されないし、許せないし、許さない。