翌朝、彼女は居なかった。

 机には「旅行に行ってきます」と記されたふせん。
 だから、ああそうなのか、と、特に重く受け止めてはいなかった。

 それよりも、夕陽まむは春休みいっぱいはずっと実家で過ごすそうだから、春休み中は暇だな――と、そんなことばかり考えていたような気がする。

 けれど、1週間が経ち、2週間が経ち、新学期が始まっても、彼女は帰ってこなかった。