高1の3学期がはじまってから、俺は休み時間を夕陽まむ(とその取り巻き)とともに過ごしている。世界を鮮やかに見せてくれる人がはじめて現れたおかげで、授業も、休み時間も、なにもかもが楽しい。
けれど、ルームメイト・青空ひよりと話すときだけ、どうしようもない懐かしさと切なさが心を締め付ける。
ルームメイトと言うからには、なにかしら接してきた過去があるはずだ。
なのに、記憶が一切取り出せなかった。
恐ろしかった。
夕陽まむに「他の女の子には近寄らないで!」と言われたこともあって、ルームメイトとは最低限の接触で済ませるようにしていた。ルームメイトも「あなたがそれを望んでいるのなら」と、料理当番以外で互いに干渉しないようになった。