年が明けた頃には彼は彼女と別れていたけれど、チャンスだとは思わなかった。 卒業が近づいても告白はしなかった。 この気持ちは想うだけでずっと充分だった。 好きだったこの気持ちは確かに本物だったけれど、私の中でずっと大切に閉まっておこうと決めていた。 それから私は大人になった。 それが、未練として形づくっていることにずっと気が付かないまま。 ────だから、驚いたの。 「えっ……?」