「……っ、坂下っ……」
大好きだった人とのセックスは思っていたよりも呆気なかった。
余裕が無さそうに顔を歪ませる古野は、今私の中で感じてるんだなって他人事のように思う。
乱れた声で愛しそうに私の名前を呼ぶ古野は、私のことを好きじゃない。
目が合うたび愛しそうに微笑む古野は、私のことを、好きじゃない。
私だったらヤらせてくれそうって思ってたの?
メッセージを送ってきたのは、ただセックスしたかっただけ?
本当に、体目的だったの?
私がその場で断ってたらどうしてた?本当に、これっぽっちも気持ち無い?
「────……ふる、のっ、……っ、す…」
" 好き。"
喉から漏れた空気が声になりそうだった。
慌てて古野の唇を追いかけて、余計なものが口から溢れないように、すき間を埋めるようにして必死に唇を重ねた。
そのまま古野は応えるように、深く、私を受け入れた。