僕の名前は葉奈舞希。訳あって夏休み前といういかにも中途半端な時期に井原高校に転校してきたのだが、まさかの初恋の人にめちゃくちゃ似ている少女に出会った。しかもまさかの奇跡が起きたらしく、名前が全く同じだった。いや、もうこれは運命だ。まあ、名字は違ったんだけど……。なんとかしてあのこと仲良くなりたい!!
 そう思って次の日声をかけようとおもったら(初日と2日目は質問攻めにあって話しかけれなかった)沙紀さんは休んでしまった。友達の海月さんいわく熱を出したらしい。
 考え事をしていたら僕を呼ぶ声が聞こえた。
「舞希〜。今度の夏祭り一緒行こうぜ。」
そう誘ってくれたのは昨日友人になってくれた吉弘紅希くんだった。彼とは[Brandros]というバンドのことで馬が合って昨日の放課後たくさん話してしまった。
「うん。いいよ。あ、でも…」
「でも?」
少し沙紀さんのことが頭をよぎってしまった。
「もしよかったら沙紀さんも一緒に行けないかな?」
「あぁ…田中沙紀さん?それとも沙紀一華さん?」
そうか。沙紀って名字はなかなかいないと思っていたけど名前が沙紀の人はたくさんいるか。
「えっと…沙紀一華さんの方かな?」
「それなら任せといて!沙紀さんとは何の関わりもないけど彼女の親友の玲奈とは幼馴染だから行けると思う。」
「え?ほんとに?!やった。ありがとう。」
「いいよいいよ。それよりもなんで沙紀さんなん?狙ってんの?」
いやでもあったこともない人狙うか〜?あ、一目惚れ?などと紅希が呟く。言う気はなかったけれど、自分の幼馴染のことを素直に明かした。
「あぁね。幼馴染とそっくりだから気になったと。いいね青春。」
「アハハ。ありがと。正直やな回答来るんだろうなと思ってたからなんか安心したよ。」
「それは無いわ。俺はそんなこと言わんから大丈夫よ。」
そう言うと紅希は、海月さんのところへ相談しに行った。嬉しいな。こんな友達を持てたことに感謝だ。ってかあの二人めちゃくちゃお似合いだな。僕は2人の恋を見守ることを固く決心した。
 
 「ハッ……クシュン!!ハァハァ……」
なぜかさっきからくしゃみが止まらない。いや、それよりも!
「夏祭りに舞希くんと行くってどういうこと?!!」
さっきからずっとFineの通知音がうるさいと思ったら。どういう風の吹き回しでこんなことになるんですか?!玲奈曰く玲奈とその幼馴染の紅希が一緒に夏祭り行くからとかなんか言ってるけど……え!?ええ!?紅希いつの間にか舞希くんと友達になってんのよ!!そしてなんで私と舞希くんも行くの?2人のデートなら私は行かなくていいわよ!家でベースの練習でもしてるわ!は?はぁ?!
「もうワケワカラン…」
頭の中がこんがらがって私は深い眠りについてしまいました。