碧央(あお)、こっち!」

 付き添いだろうか男子3人組が席から手招きする。
 結愛は、本名を聞いてしまった。

 お互い偽名で過ごすはずだった。

「番号でお呼びしますので、そちらでお待ちください」

結愛はあくまで仕事上の会話で、レシートとお釣りを渡す。

「石原さん、またね」

彼は笑顔で手を振っていた。