「碧央! 聞いてる?」

 名前も覚えていない彼女が話の途中で聞いてくる。
碧央は、大学の中庭のベンチで彼女と隣同士座っていたが、廊下を1人歩く結愛を追いかけていた。

「え、なに? 何か言った?」

「碧央は私の話全然聞いてないよね!?
 もう付き合いきれない」

 頬を平手打ちされた。大事にしなかった代償だ。