「椅子は俺と啓吾に任せて」


返事をするより先に、あたしと愛花の椅子はひょいと彼らに持ち上げられていた。

気づいたあたしは、すぐ雪平くんの元へと駆け寄る。


「行こー藍原さん」

「いいのにー」


ほんと優しいなぁ、雪平くん。

いっつもにこにこしてて、見てるとこっちまで爽やかな気持ちになれる、不思議な男の子。


顔が良くて、おまけに性格もいいなんて。

そりゃあモテるのも納得しちゃうよね。


「ありがと」

「どういたしまして」


運んでくれた感謝と共に頭をよしよしと撫でると、雪平くんは照れたように笑った。