1位かぁ。
なんかいいことあるかなぁ。
あたしはちょっぴりいい気分になって、足取り軽やかに山岡くんの家に歩いていった。
しかし、暫く歩いたのち。
勉強セットを携えたまま、あたしと愛花はとある建物の前で立ち尽くした。
「……もしかして、あたしたち間違えた?」
とはいえ地図的にはここで合ってるし……それに。
何度も見返す表札。
そして、
何度も目に入る〝山岡〟の文字。
「どうやら間違ってないみたいよ?」
「よね」
愛花に言われ、現実を噛み締める。
全っ然、知らなかった。
まさか山岡くんが──
「……金持ちのボンボン、か」
「うん……」
こんな大豪邸に住んでるなんて!!!!
「璃子ちゃん、関口さん、お待たせ!」
脳内大絶叫の中届けられたのは、そんな爽やかな声だった。
あたしは振り返りにこりと笑う。