「俺の心臓……わかる?」

「……っ」


いつの間にか掴まれていた手が、諒くんの胸に当てられていた。

手のひらにはっきりと感じる鼓動。


なにこれ。

……すっごく、鳴ってる。


「ドキドキしてるの、伝わった?」

「……うん」

「璃子ちゃんが俺ん家にいるんだもん。さっきからずっとこんなんだし、昨日だってよく眠れな……」

「え?」

「う、ううん。恥ずかしいから、忘れて」


……うそ。


ドキドキするのも、眠れないのも。

そうやって真っ赤になるのも、 全部あたしのせい……?


「よかった……。他に好きな人ができたとか言われたらあたし、どうしてたか」

「……なにそれ」

「へ?」

「そんなわけないじゃん。俺が璃子ちゃん以外考えられないって、知らないの?」


諒くん……。

全身に一気に血液が流れ出したみたいに、ぶわっと身体が熱くなった。


「ごめん。信じてなかったとか、そういうわけじゃないの」


でも……。


「じゃあ、なんで?」


あたしがちらりと目線をやると、諒くんは一瞬たじろいだように見えた。

そしてふいっと逸らした顔は動かさず、小さな声で言ったんだ。