ごめんね諒くん。

何か言いたげな様子には気づいてるけど、敢えてスルーしちゃう。

あたしはすらすらと喋りながら、返事なんて待たずに箱をべリッと開けた。


「ん」


小分けの袋から取り出した一本を咥え、さあどうぞと反対側の先端を彼に向ける。

そして、困惑状態の諒くんにズズズッとにじり寄った。

するとゴクリ、その喉が大きく動いたのが見えて。


……よし、あと一押しね。


「んーんーんー(はーやーくー)」


と、あたしは揺れる瞳を捉えて促す。


程なくして、閉ざされた唇に小さな隙間ができた、と思った瞬間──。