「璃子ちゃん、そこ座ってくれていいから」

「はーい」


ふふふ。

ここが諒くんのお部屋かぁ。

意外とシンプルで男の子っぽいし、キレイに片付けられてる。

なんと言ってもこの部屋、諒くんの匂いがいっぱいで堪らな……。


「……璃子ちゃん?」

「はっ! ううん!」


やばいやばい。

変人になるとこだった。


急いで緩みまくった表情を引き締め、あたしは言われた通りに机の前に座った。



「それで、わからない問題ってどれ?」

「んーっとねー?」


そんなのただの口実なのに、諒くんったら本当に優しい。

〝夏休みの宿題全然わかんなくて困ってるの!〟って連絡したら、〝俺が教えようか〟だって。きゃーー!

そんなこんなで初めてお家におじゃますることに成功したのよね、あたし。


……ん?

わからない問題があるのはホントのことだろって?

まあそれもそうだけど、今はそんなことよりも大っっ事なことがあるからどうだっていいの。